【車中泊・DIY】やっぱり温水シャワーが欲しいので自作してみたら簡単だった!(その2)

車中泊していると「温水シャワーにかかかりたい」と思うこと多いですよね。そこで、前回の記事(その1)では、エンジンルームの廃熱を利用した、超簡単な温水シャワーの自作法をお話ししました。すると、「電気で温水作れるならもっと手軽じゃない?」という声も耳にしましたので、探ってみました!

目次

【熱交換型】車中泊用温水シャワー(自作)は快適!

前回の記事でご紹介した、自作温水シャワーはとにかく快適です!何しろ、電気も水道もない高原で温かいシャワーが使えるんですから・・・。

 駐車中にエンジンをかけ、その廃熱で水を温め始めると、みるみる水温が上がっていくので、「わあ、エンジンってこんなに熱いんだ!」とつくづく感動します。(詳細は、『【車中泊・DIY】やっぱり温水シャワーが欲しいので自作してみたら簡単だった!(その1)』をご覧下さい。)ただし安全のため、この温め作業は駐車中に限っています。熱交換器をエンジンルームに仮置きしているからです。

エンジンルームに仮置きした熱交換器

もちろん、車のメカに詳しい方なら、設置したまま安全に走行するすべをご存じかも知れませんが、車のメカに関して全くの素人の私の場合、安全を優先し走行中は取り外しています。

電気なら走行中でも温水作れるんじゃないか?

そこで生まれた新たな疑問、「電気を使えば、走行中に水を温められるんじゃないか?」

さっそく探ってみました。

電気で温水をつくるのが目標

まずは、目指す目標の設定です。

目標

ポリタンクに入れた15℃の水20Lを、電気で45℃まで温めることは可能か探る

20L水タンクと12V電動シャワー
このポリタンクの水が温水になれば快適!

20Lの温水があれば、温水シャワーとして十分なので、この目標で進めてみますね。

そもそもですが、どのくらいの電力で、どのくらい温まるのか見当がつきません。そこで、一つひとつ調べてみました。

まずは、電力について・・・。

そもそも1Whでどのくらい温まるのか?

1Wh(ワットアワー)とは

実感がわくように、山歩きなどでよく見かけるヘッドライトを例に考えます。

この写真(Amazonから引用)のヘッドライトには1W(ワット)タイプのLEDが使われていて、このライトを1時間点灯し続けた場合に消費されるエネルギー量が1Wh(1ワットアワー)です。 

1cal(カロリー)とは

1cal(カロリー)とは、「1 気圧 のもとで 水 1グラムの 温度 を14.5℃から15.5℃まで上げるのに必要なエネルギー量」のことなのですが、ざっくり「1グラムの水の温度を1℃上げるエネルギー量」という理解で十分です。

ただ、この単位はちょっと小さすぎるんです・・・。

軽量スプーンの小さじでさえ5.0mL(水なら5g)。この写真(Amazonから引用)の軽量スプーンには更に小さな「小さじ1/2」というものが添付されていますが、それでも水なら2.5gです。

水1グラムって、ホントに”ちょこっと!”です。

だから、水1kg(つまり1リットル)を基準にしたkcal(キロカロリー)に直して考えるのが一般的です。ダイエットで話題になる「カロリー」といえばkcalのことを指しています。

ワットアワーをカロリーに直すには?

Wh(わっとアワー)は電気のエネルギー量の単位ですが、私たちが今、知りたいのは水の温度ですから、cal(カロリー)に直す必要があります。そこで活躍するのが、次の式です。

電気量とカロリーの関係1

1Wh=860cal

これを具体的にイメージしてみましょう。

<<ヘッドライトを1時間点灯すると、1グラムの水の温度が860℃もアップする>>

という意味です!! 

スゴイ!6分で86℃上昇し10分したら沸騰している!ということになりますね!電気にこんなパワーがあるなら、温水シャワーも簡単そう、と思ってしまいますが・・・。

水の量は1リットルを単位に考えるのが一般的!

実は、cal(カロリー)ですから、水はたったの1グラムを基準にしています。

これでは、小さすぎるので、水1kg(つまり1リットル)を基準にしたkcal(キロカロリー)に直して考えると・・・。

電気量とカロリーの関係2

1Wh=0.86kcal

<<ヘッドライトを1時間点灯しても、1Lの水の温度は0.86℃しかアップしない>>

という意味です。1時間も温めているのに、たったの0.86℃です。多分、手で触ってもほとんど違いがわからない程度でしょう。

ポリタンクの水の量は20L

さらに追い打ちをかけるようで言いにくいですが、目指すポリタンクの水の量は20Lもあります。

0.86℃÷20=0.043℃

1Whのエネルギーでポリタンク20Lの水を温めると1時間かけて0.043℃しか上昇できないことになります(涙)

ワット数を増やせば解決するはず!

でもご安心を。あくまで1Wで温める場合の話です。そこでワット数を増やすことを考えましょう。

【100Wのヒーターの場合】

100Wのヒーターを1時間使うと100Wh。この場合のポリタンクの温度上昇は

0.043℃×100=4.3℃

うーーーーん。少し温まったと感じる程度ですね。

【1000Wのヒーターの場合】

1000Wのヒーターを1時間使うと1000Wh。この場合のポリタンクの温度上昇は

0.043℃×1000=43℃

15℃だった水が43℃温度上昇すると58℃になりますから、OK!! ただし、熱が逃げないと仮定した場合ですが。

1000Wの安全な温水ヒーターを探してみると

1000Wといえば、電気コンロ・ドライヤー・トースターなどと並ぶ火力です。

だから火傷や火災に気をつけるのはもちろんのこと、水中で使うので漏電・感電にも配慮する必要があります。

そこで、安全で使いやすい商品をさがしてみたところ、見つけたのが「沸かし太郎」です。(画像はAmazonから引用)

これはもともと、家庭のお風呂用品で「追い炊き」用のアイテムです。

だから安全対策は完璧。水深8cm以上あればチャポンと投げ込んで温めることができるそうで、温度調整30℃~45℃なのでバッチリです!

200L湯船の保温対策用アイテム!

家庭用のお風呂では湯船の水量が概ね200Lです。

ポリタンクの10倍ありますから、1000Wヒーターを1時間使った場合の温度上昇は4.4℃。つまり、沸かし太郎とは、給湯器でお風呂を沸かしたあと、お湯が冷めないように保温するにはバッチリのアイテム。それにより、ガス代と水道代を節約できると好評です。

20Lポリタンクなら沸かせるかも

一方、私たちが目指しているポリタンクは水量が20Lと少ないので、1000Wの沸かし太郎でも1時間もあれば45℃のお湯を安全に沸かせるということになります。

これは朗報ですね!

そこで、次に、車の中で何Wの電力が使えるか調べてみました。

車載用DC-ACインバーターで1000Wは可能か?

車の中で家電(AC100V)を使う時の必須アイテムがDC-ACインバーターです。この写真(Amazonから引用)のように120Wから300W程度のものが一般的です。

写真の手前にある黒いプラグを、車に設置されているアクセサリーコンセント(直流12V)に差すことで、家電用のAC100Vコンセント変換するものです。これにより、ワット数が小さな家電なら車の中でも使うことが可能です!

「バッテリー接続ケーブル」それって何?

ところが、このDC-ACインバーターの取説に

※合計が150Wを超える機器を使用する場合、別売りのバッテリー接続ケーブルをご使用ください。

と記載されているんです。

アクセサリーコンセントだけじゃダメなの?

わざわざ、バッテリーに直結しないとダメなの?

何故でしょうね?

そこで、1000WタイプのDC-ACインバーターを調べたのがこの画像です(Amazonから引用)

ご覧のように、黒いプラグは、最初から写真に載っていませんね。

バッテリーに直結する接続ケーブルしか載ってません。。。。。

そこで、私の車の取説を調べてみました・・・

アクセサリーコンセントの許容量

私の車の取説には、「アクセサリーコンセントは120W以内でご利用下さい」と書かれています。念のため、ヒューズの容量を確認すると、10Aのヒューズが使われています。

つまり、車の設計上の想定として、アクセサリーコンセントから供給する電力の許容量はたったの120Wしかない、ということです(涙)

電力許容量

車のアクセサリーで使える電力の許容量は120Wしかない!

こうなると、1000Wのヒーターを使うためには、DC-ACインバーターをバッテリー接続ケーブルで直接バッテリーにつなぐしかないのですが、

ちょっと待った!

たった120Wに制限されているのは何故か?

その点をよく確かめておかないと、トラブルになるかもしれません。

そもそも電気はエンジンで発電している!

ざっくりとした話になりますが、エンジンには発電機(オルタネーター)がついています。

超小型エンジンは、回転を与えれば始動する

たとえば、草刈り機のような超小型エンジンも、発電しながら動いています。なぜなら、シリンダー内の気化したガソリンを電気火花で爆発させるためには電気が必要だからです。

草刈り機を始動する時は、ひもを引きます。ひもを引くとエンジンが何回か回転し、そのとき発電した電気がスパークプラグに送られ火花でガソリンが燃焼し、その勢いでエンジンの回転が続くようになります。

普通車のエンジンは、モーターで始動する

エンジンがある程度大きくなると、人の力で始動するのは困難になります。そこで、普通車ではバッテリーでモーター(セル)を駆動し、その回転で始動するようになっています。

始動してしまえば、モーターは不要です。エンジンが回り続けている間は、ずっとオルタネーターで発電しているからです。

そこで、余った電力はバッテリーに蓄えておき、次のエンジン始動の際に、使われるようになっています。

発電した余りを電装品に流用

発電能力に余裕のあるオルタネーターをつけ、発電した電力の余りを電装品に流用できるようにしたのが現在の普通車です。

必須電装品

○ヘッドライト・クラックション

○ブレーキランプ・ウィンカーランプ

○ワイパー

電力不足でこれらに電気がこなかったら、そもそも、公道を走ることができませんね。今の車は、これ以外でも、カーナビなど電気を食う装備が随分増えました。

そして、必須電装品に流用した「残り」がアクセサリーコンセント・・・なんです。

流用した残りに過ぎないから

アクセサリーコンセントにまわせる電力が120W程度に抑えられているのは、本来の電装品に流用した「残り」に過ぎないから。

ということは、バッテリー直結で大きな電力を使うと、オルタネーターの発電量を超えてしまうかもしれませんね。

オルタネーターの発電量

そこで、オルタネーターの発電量を調べてみました。

基礎知識

オルタネーターは回転数が上がるほど発電量が増えるが、アイドリング中はあまり発電していない。

消費電力>発電量 が続くとバッテリーが上がる(カラになる)。

自動車部品を販売しているADVANCE.CO.JPが、こんな記事を書いて下さっています。

軽自動車でアイドリング状態の場合の発電量は約20A。電装品の消費電力が約16A。この程度であれば、バッテリー充電状態を維持できます。

ADVANCE.CO.LTDの旧サイトから引用

普通車も似たり寄ったりでしょう。

つまり、アイドリング中は、4A程度(48W)しか発電の余裕がないということになるので、アクセサリーコンセントから120Wをフルに使っていると、バッテリーが上がる恐れがあります。

では、走行中はどうか?

出典:ADVANCE.CO.LTDの旧サイトから引用

このグラフを見ると、通常走行でエンジンの回転数が上がると、40A程度の発電量になるので、アクセサリーコンセントからの120Wならフルに使っても、大丈夫だということになります。

えっ?70Aが最大なの?

でも、喜ぶのは早いです。。。。

このグラフによると、(軽自動車の)オルタネーターは最大でも70A(つまり840W)の発電が限界のようです。普通車でも似たり寄ったりでしょう。

オルタネーターを交換すればパワーアップ可能

ADVANCE.CO.JPによると、発電量を増やしたい場合は、オルタネーターそのものを、ハイパワータイプに交換するという「奥の手」があるそうです。

出典:ADVANCE.CO.LTDの旧サイトから引用

このオルタネーターなら、走行中に90A(1080W)ほど発電するので良さそうですね。

ご自分の車につけられるハイパワーオルタネーターを相談してみるのもいいかもです。

まとめ

以上のことをまとめてみます。

ノーマル状態の車では、オルタネーターの能力が120Wで限界。

したがって、

1000W近い「沸かし太郎」をバッテリー直結で使っていると、バッテリーが上がってしまい、エンジンが始動できなくなる恐れが大きい(涙)。

うーん、なかなか上手くいかないものですね。

電気湯沸かしは意外に大変

こうして探ってみると、電気で湯を沸かすというのは意外に大変(汗)。

それもそのはず。

考えてみれば、もともとのエネルギー源は、ガソリンが燃えるときの「熱」。そして、最終目的も「熱」で温水を作ること。

それなのに、わざわざ電気エネルギーに変換して使おうとしているから、遠回りなんですね・・・。

「熱 to 熱」だから簡単だったんだ!

前回の記事で、「温水シャワーが欲しいので自作してみたら簡単だった」と述べましたが、それは「熱 to 熱」だったから、近道になったようです。

ガソリンの燃焼「熱」⇒熱交換器で「熱」を吸収

よって、20Lポリタンクの水を温水にしたいなら、前回の【熱交換型】車中泊用温水シャワーがやっぱり簡単です!

それでも、何とか電気を使いたい!

それでも、移動中に電気を使って温水をつりたいという方のために、次の2つの方向で探ってみますので、しばらくお待ち下さい!!!

2つの選択肢

【1】ノーマル車のままで120Wをフルに使ってできること?

【2】1000Wを使うためにオルタネーターを強化するには?

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