これから山歩きを楽しみたいという方のために、今回はインナー(下着)についてお話しします。山歩きではインナーの素材選びが意外にも重要です。その理由と、私が使ってみて一番よかったインナー素材の紹介をしますね。
目次
清々しくて気持ちがいい山歩き!
高原の澄み切った空気の中を、木々に囲まれながら、登り坂をてくてくと歩く「山歩き」。
仲間と一緒なら、おしゃべりが楽しいです。山には宅配便が届くこなんてありませんよね。テレビに遮られることもありませんし、電話がかかってくることも無し(たいてい電波が届かない)、お客さんがやってくることも無しです。目的地(多くの場合は山頂)に着くまでの数時間の間、邪魔が入ることなく、ずっとおしゃべりできるから、学生時代に仲間をわいわいやってた頃のような楽しい雰囲気になります。
一方、1人で山歩きするなら、自分の好きなペースで歩き、時には止まって景色を味わったり、美しい花に酔ったり、鳥の鳴き声を聴いたりして、これも楽しいです。
間違ったインナーは不快感のもと
ところが、間違ったインナーを着ていると、山の上で休憩しているときに、カラダが異常に冷え、不快になります。
これでは、楽しさが半減したり、カラダの大きな負担に。
山歩きにおけるインナーの役割とは?
そこで、そもそも、山歩きで何のためにインナーを着るのか、その役割をおさえておきますね。
インナーは肌に直接触れてはたらく
インナーの性能が体調に直結する
インナーって肌に直接触れるものです。当たり前ですが・・・。
どんなに高性能なアウターを着用していても、それ自体は肌に触れることはありません。肌に触れているのはインナーだけです。だから、どんなインナーを着るかで快適さがまるで違ってくることをご理解ください。
自分の汗を引き受けるのがインナー
自分がかいた汗を最初に引き受けるのがインナー。これも当たり前かもしれませんが・・・。
坂道を登れば、次第に心拍数が上がり、心地よい汗をかくでしょう。この時、自分がかいた汗を最初に引き受けてくれるのが、インナーです。だから、インナーの汗処理能力次第で、快適さが大きく変わるのです。
インナーが吸収できる汗の量には限界がある
インナーに汗を溜めこもうとするとすぐに限界が訪れます。
山歩きでは、目的地(たいていは山頂)まで、5分や10分では着きません。たいていは1時間とか2時間とかかかります。その間、ずっと汗をかき続けるとなると、インナーに汗を吸収させようとすると、限界が来て引き受け不能になってしまいます。こうなると、肌は汗まみれのままになります。山の上は標高が高くて気温が低く、強風が吹きます。汗まみれの肌は急激に冷えて、寒さに襲われます。これでは、すがしがしさも台無しですね。
インナーは着替え困難
アウターは、場面や状況に応じて、脱いだり、着たり、着替えたりと、調整することは簡単です。
ところが、インナーは一番内側に着ていますから、着替えるとなると、裸になる必要があります。
だから、脱いだり着替えたりすることは困難です。
インナーの役割とは
つまり、山歩きにおけるインナーの役割とは、
「肌の汗を素早く吸収し常にドライに保つこと」です。
肌が乾いていれば、快適に過ごすことができます。
素材が悪いとインナーの役割を果たせない!
ところが、インナーの素材が悪いと、肌が湿ったままになり、汗冷えを招き快適性が著しく失われます。これが、インナーは素材選びが最も重要だと言われる理由です。
肌をドライに保つ素材とは?
それでは、肌をドライに保ってくれる素材について具体的に見ていきましょう。
綿製品は気持ちいいけどNG
普通の生活ではインナーの素材としてよく使われるのが綿です。
肌ざわりがソフトだし、汗を吸収してくれるから。ところが、綿製品は、一旦、湿ると、水分をいつまでも保持してしまう傾向が高いです。
梅雨の時期に洗濯物を干しても、綿製品はなかなか乾きませんよね。
ということで、綿は山歩きインナーの素材としては、NGです。
発熱素材は更にNG
春や秋の涼しい季節の山歩き、冬場のスキー場などで、寒くないようにしたいといいう思いから、発熱素材を着る人がいます。でもこれは、お薦め出来ません。
カラダが冷えて寒くなる真の理由は、汗で肌が湿って気化熱で体温が奪われるからです。発熱素材のシャツを着ると、うっすらと汗をかき、その汗がシャツの中にとどまってしまって、汗冷えにつながりますのでNGです。
天然素材の中ではウールが優秀
ウール製品は、インナーの素材としてあまり使われていませんが、水分を含まないし保温性があるということで、天然素材の中では、重宝されてきました。いわゆる、登山用品としては、ウール製の衣類がかなり出回っています。
ただ、ウールの欠点として、肌に直接触れるとチクチクしてしまいます・・・。
そんな中で、登場したのが、速乾性の化学繊維です。
速乾性の化学繊維はお薦め
最近、日本の夏は猛暑を通り過ぎて酷暑、さらには「危険な暑さ」という言い方まで登場しています。そんな時に、「速乾性シャツ」と書かれたインナーが、衣料量販店の店頭でも普通に売られるようになりました。
速乾性シャツが登場した頃は、1着1,000円程度していたものが、最近では1着500円程度でも手に入るようになっていますので、買いやすいですね。
下着としてのシャツに限らず、いわゆるTシャツでも、「速乾性」化学繊維のものが数多く出回っています。
これらの速乾性化学繊維素材はお薦めです!
速乾性シャツの弱点
ただ、速乾性シャツにも弱点があります。それは、発汗量が多いと乾燥が間に合わなくなる、という点です。
速乾性の化学繊維は、綿のように繊維自体が水分を保持したりしません。汗は繊維の間のスキマに吸い取って、シャツ全体に広げて乾燥を早める、という感じです。言い換えると、乾燥が終わるまでは、シャツは湿っていることになります。発汗量が多いと、乾燥が追いつかず、ずっと湿った感じになるのです。
汗っかきだった私の経験
私の体験談ですが、私はどちらかというと、汗をよくかく方です。ある意味健康的なのですが、山歩きでは困ることが多かったです。
速乾シャツを着ているのに、乾燥が追いつかない。このため、山頂について弁当を食べる時には、体がすごく冷えて、鼻水が出て不快な思いをするんです。
沢登り仲間が重宝している素材
そんな私を見ていた友人が、解決策を教えてくれました。「ドライメッシュがお薦めだよ」と。
友人の話しによると、沢登りをしている仲間の間で特に人気なインナーなんだそうです。
沢登りは、谷川の水に濡れながら行動するため、夏でも体がすごく冷えるとこのと。だから、水につかっていない時間帯に、さっと肌が乾燥してくれないと、低体温症にかかって命の危険さえあるのだとか。
そこで「ドライメッシュ」。特殊な撥水繊維を独自の方法で編み込んで作ったメッシュ状のシャツ、ドライメッシュを着ていると、肌がすぐに乾くというのです。しかも、ドライメッシュの上に濡れたシャツを着ていても肌には水分が接触しないでカラッとしている。場合によっては、体温でそのまま濡れたシャツを乾燥できる、という何だか魔法のような話しでした。
究極のインナー「ドライメッシュ」!
そこで、「ドライメッシュ」を試してみることにしました。
メーカーはファイントラックです。ファイントラックの公式ページを開くと、ドライメッシュの説明などが詳しく書かれています。それらに一通り目を通したうえで、ネット注文しました。
ドライレイヤー®ベーシックが届いた
私が注文したのは、ドライメッシュで出来たシャツ、ドライレイヤー®ベーシックです。
この写真のように、網状の素材で出来ています。たしかにメッシュですね。手触りは、固いです。まるで、網戸の網みたいな手触りです。伸縮性はありますが一般的はシャツよりバネが強い感じです(着る時にちょっぴり大変)。
本当にこんなもので効果あるのだろうか?
と半信半疑な気持ちで、とにかく、肌の上から直接着てみました。
すると、驚いたことに、ポカポカ暖かい感じがするんです!
メッシュですから、肌はスケスケで風が吹き抜けるから、スースーするのかと思っていたけど、ポカポカなんです。驚きでした(暑いわけではなく、カラットした暖かさ)。
この上に、普通の速乾シャツを着て、軽く汗をかく運動をしてみましたが、カラッとした感じがずっと続きます。
山歩きに着てみた!
ドライメッシュを着て山歩きしてみました。
すると、山頂で弁当食べている時も、カラッとした感じが続き、寒くないのです!
スキーのインナーとしても試しましたが、ポカポカして気持ちよかったです。
インナーは素材が大切だとは思っていましたが、こんなに違うなんて、本当に驚きです。「ドライメッシュ」と出会えて良かったです。
※女性の場合は、女性専用のドライメッシュ製品があります。下記のボックス開いてご覧になって下さい。(男子禁制ですよ~)
ドライメッシュを着て肌をドライに保つには、いつものブラはお薦めできません。バストはふくらみがある分だけ表面積が広いので、ここが湿っていると、体温が奪われ易くなるんです。
これを防ぐには、ドライメッシュを応用したブラがお薦めです。次の写真は、一般的なスポーツブラと比べたものですが、こんなに違うんです。
ファイントラック公式HPに、ドライレイヤークールフィットブラという商品があります(これは夏用)のでお試し下さい。
【山歩きのインナーの汗対策】素材が重要だと言われる理由~まとめ~
山歩きのインナー素材のお話し如何でしたか。
以前、ニセコスキー場のペンションで小学生の娘さんとそのお母さんと一緒になりました。その日、インストラクターの案内で雪原探検をしてきたらしいので、「いかがでしたか?」とお尋ねすると、「とにかく寒かった」という言葉が飛び出しました。
何故だろうと思って、どんなインナーを着ていたかお尋ねすると、「発熱シャツ」だったそうです。寒いので更に厚着したとか・・・。私が何を着ていたか尋ねられたので、ドライメッシュのことをお話すると、「素材の違いでそんなに変わるんですね!」と驚かれていました。
というわけで、山歩きのインナーは素材選びが重要で、ドライメッシュが一番良かったです。
コメントを残す