正直に言います!私は、これまで、日帰り山歩きしかしてこなかったので、ヘッドライトは用意していませんでした。けれど、「たとえ日帰り登山でもヘッドライトは必須」という話をきき、日帰りなのになぜ必須なのかその理由と、用意するなら、どんな点に気をつけてヘッドライトを選べばいいのか調べてみました。
目次
日帰りでもヘッドライトが必要?
「日帰りでもヘッドライトが必要です!」ということを痛感したのは、熊本日日新聞のコラム「登山ルート、スマホ過信は危険(2021/5/12)」を読んだからです。
※関連記事「【登山アプリ】山歩きに大いに役立つスマートフォン。 だが、登山アプリが招く想定外の危険とは?」
コラムの執筆者である寺崎彰氏は、九州ハイランド協会の会長をなさっているそうで、最近の九州の山(比較的低山)で起きている事故に心を痛め、「九州背梁 事故発生で注意点」という趣旨で記事を書いて下さっています。
「好天日の日帰り登山でも、雨具とヘッドランプ、着替え、十分な水と食料、スマホの予備バッテリー、緊急用の保温シートは必ず携行すること。」
熊本日日新聞のコラムより引用
山では計画通りいかないことが起きる!
好天日の日帰り登山しかしないつもりであっても、山では予期せぬことが起きるものです。
例えば、15時には下山してしまおうと思っていたら、ひどい腹痛に襲われ、収まるまでしばらく安静に。やっと腹痛が収まったら、日が傾いて、辺りは暗くなって・・・。
そんな時、ヘッドライトを持参していなかったら、慌てて下山ということになりますが、慌てれば慌てるほど怪我の危険性も高まりますし、道を間違えて遭難する危険も出てきます。
でも、ヘッドライトを持参していれば、落ち着いて下山できますよね!
暗い山道では両手がフリーになるヘッドライト!
暗い山道で足元を照らすには、懐中電灯やスマホのライトでも出来ないことはありません。しかしながら、この方法では、片方の手がふさがれてしまいます。岩場を越える時など、もう一方の手しか使えないとなると、これも危険です。
暗い山道では、両手がフリーになるヘッドライトを使うのがマストでしょう。
ヘッドライトを選ぶとき気をつけることは?
では、ヘッドライトは、どんな点に気をつけて選ぶのがいいか調べてみました。
どんな場面でヘッドライトが必要になるか?
まず最初に、ヘッドライトがどんな場面で必要になるか整理してみました。
日没後、山道を歩くとき足元を照らすため
山の中には、街灯がありません。だから、日没後は暗闇に近い。たまたま、満月が出ているとかなり明るくはあっても、それで山道を歩けるかというと、登山道に転がっている岩や石が見えにくいため、誤って転倒する恐れがあります。
山道で足元を明るく照らして安全に歩くためにヘッドライトが必要!
日没後、山の中で待つ場合も灯りが必要
怪我など何らかの事情で、山の中でじっと待つ必要が生じたとき、日没後は暗闇になってしまいます。回りが全く見えないほど暗くなる場合もあり、不安な気持ちが何倍にも膨らんでしまいます。そんなとき、ヘッドランプの灯りをともすことができると、精神的に落ち着くことができるでしょう。
日没後、灯りをともして気持ちを安定させるために必要!
日没後、居場所を知らせるために必要
山の中でじっと待っているような場合、暗闇の中なので、待っている姿は他者から全く見えません。そんなとき、ヘッドライトの光が差していると、「あそこに、誰かがいる!」ということが、一目瞭然です。
日没後、自分の居場所を知らせるために必要
夜間、山小屋にお世話になる場合に必要
何かの事情で夜間に山小屋のお世話になることになった場合、消灯後の山小屋で必要です。消灯後の山小屋では自分の荷物の中から何かを取りだそうと思っても真っ暗です。そんなとき、光の調節ができるヘッドランプがあると重宝するでしょう。
更に、山小屋ではトイレが室内ではなく、外部の離れた場所に設置されていることが多いようで、トイレまでの往復を安全に歩くためにヘッドライトが必要です。
夜間の山小屋で荷物を扱うときに必要!
山歩き用ヘッドライトに求めたい性能
以上の使用目的からすると、登山用のヘッドライトに求めたい性能は次のようになるでしょう。
足元を明るく照らすことができるか?
ヘッドライトの性能を表す指標の一つに「ルーメイン(lm)」という数値があります。
トイレの廊下などに使われていた白熱電球は20W~30Wです。そのことからすると、真っ暗な山道を照らすために必要な明るさの目安は200lm~300lm程度が良さそうです。
それから、光の広がり方も重要なポイントとなるでしょう。例えば、スポットライトのように、細く遠くまで照らし出すライトは、足元のごく狭い範囲をテカテカと光らせてしまい、その周辺が真っ暗に見えて、とても歩きにくくなるでしょう。だから、足元を幅広く照らす広がり方がいいでしょう。広がり方を調整できる方がベターです。
なお、あまりにも明るすぎるライトは逆効果です。暗いところでは、私たちの目の瞳孔(ひとみ)は広がってより多くの光を取り込もうとします。ところが、あまりにもライトが明るすぎると、瞳孔が閉じてしまい、「照らしているところは見えるが、周囲は逆に見えにくい」という状況に陥る恐れがあるからです。
●明るさ200lm~300lm程度で光が広がるタイプがよい
防水性能と頑丈さは?
日帰り登山のはずなのに、ヘッドライトを使用するというシチュエーションは、どちらかと言えば、非常事態の時です。例えば、雨が降っているかもしれませんし、気温が低いかもしれません。せっかく、ヘッドライトをザックに入れていたとしても、濡れて故障してしまうのでは、役に立ちません。よって、防水性能がありタフなヘッドライトを選びたいものです。
●防水でタフなヘッドライトを選ぶ
低温に強い電池が使えるとベター
ヘッドライトを駆動する電源の電池。内蔵された化学物質の化学変化によって電気を供給しています。このため、温度が低くなるほど、化学変化が起こりにくくなってしまい、電気が供給できなくなります。温度による起電力の低下は、電池の種類によって異なるので、選ぶなら、低温に強い電池がベターです。
メーカーさんの公式サイトを調べてみると・・・
一般的に、リチウムイオン充電池やリチウムポリマー充電池は-20℃の環境下でも使用可能といわれています。アルカリ乾電池と比較して、寒さに強いと言えるでしょう。
出典:GENTOS公式サイトより引用
ということなので、低温に強いこれらの電池が使えるといいですね。
●リチウムイオン充電池が使えるとベター
明るさの調整がきくか?
消灯後の室内で、自分のザックから物を取り出すというようなシチュエーションでは、明るさは控えめにする必要があるでしょう。こんな場合を想定すると、明るさの調整機能は必須と考えられます。
●明るさ調整がきくヘッドライトを選ぶ
まとめ
それではまとめです。日帰り登山でもヘッドライトが必要な理由は、
●万が一、予期せぬ事態が起きて明るいうちに下山できなくなった場合の安全確保のため。
登山用ヘッドライトを選ぶための条件は
- 明るさ200lm~300lm程度
- 光の広がり方が調整可能タイプ
- 防水でタフなタイプ
- リチウムイオン充電池が使えるタイプ
- 明るさ調整がきくタイプ
ということになります。
早速、探して手に入れたいと思います。
白熱電球全盛だった時代は、電灯の明るさの指標はワット(W)でした。ところが、LED(発光ダイオード)が照明器具として使われるようになると、同じ明るさの白熱電球と比べて、LED球はずっと消費電力が小さいため、●●Wという指標は馴染みにくくなりました。
そこで、光源の光の量そのものを表す単位、ルーメインがよく使われるようになりました。
60Wの白熱電球の明るさをルーメンに直すと、約800lmになるそうです。
※もともと「ワット」は電力量の単位なので、ワットと明るさは比例していません!